月間 レストアレポート 10月号

ヨタハチレストア2

作業計画で悩む・・・の巻

 

手に入れる前に確認したことは・・・

1.2年間車庫保管のレストア断念車

ただし、前オーナーは現状確認程度で作業には入っていません

 

2.私で3人目のオーナー

前オーナーは雨の日には走らせていない。

改造などもまったくしたことがない

 

3.床を直そうとジャッキアップして2年間放置しただけで

その他のトラブルは、電気関係のちょっとしたトラブル程度

 

などです。

数点の純正スペアパーツも同時にいただきました。


 

当然ナンバーがないので、うちの工場の周りをまわっただけですが

とりあえずは普通に走ります。

キャブ車という事を考えれば、とても立派なものではないかと思います。

ギヤの入りが渋いのと、クラッチが固着気味なのがありましたが

思ったよりはちゃんとしています。

とりあえず走ることを確認し、車庫に入れましたが

ガソリンくさくて死にそうです。

どうやらガソリンタンクから、うっすらと漏れているようです。

さびによる漏れなのは明らかですし、このままでは

保管するのにも困るので、とりあえずタンクを先に

仕上げることにします。

なにより危ないですしね。

 

はずしたタンク

古い車なので、ただの箱かと思いましたが

結構複雑な形をしています。

古い車もなめちゃいかんね。

取り付け方は今時の車とほとんど変わらないです。

 

裏側。

ドレンプラグが特殊な形で、ちょっと不思議。

漏れやすそうな形をしています。

 

漏れているのが確認できたのは、一箇所だけですが

鉄板が薄くなっていることは明らかです。

補修する前に、錆取りのためにサンポールを使って

内部をきれいにします。

 

本来ならつけおきしておきたいところですが、あまりやりすぎても

鉄板が全部溶けてしまいますので、ねじなどをいれて

半日ほど振りまくって置いておく事にします。

 

よ〜く水洗いし、アルコールを使って水切りをします。

ガソリン蒸気が残っている状態では絶対に作業してはいけません。

マジに爆発しますからね。

色をはがしたところ。

サンダーにワイヤーブラシだけで、簡単に落とせました。

サッシュブラックで塗られていたようです。

かなりの部分をすでに補修されています。

 

リブの部分は完全に新しく上からはんだで貼っています。

それ以外にも2箇所ほどパッチワークです。

この年式ならしょうがないですが。

今回あいていた穴は、本当に小さなピンホールだけでしたので

はんだのみで埋めます。

サンポールを使ったことにより、4〜5箇所ぐらい

ピンホールができました。

 

外側をPOR-15で塗ります。

特殊な塗料ですので、使い方にコツがいりますが

頼りすぎたり下地に気をつければ、これなしでは

レストアが不可能といってよいほどの塗料です。

 

PORが乾いたら、全体をアンダーコートで塗ります。

 

中側は

同じメーカーのタンクシーラーです。

1キロで13000円ぐらい?かなり高めです。

サンポールを使ったら、絶対にそのままではだめです。

一瞬で錆はじめて、ぼろぼろになります。

内部処理をしないなら、何もしないほうがましです。

使い方はいたって簡単。

半分ほどタンクに入れて、タンク内部全体に行き渡るように

ぐるぐる回していくだけです。

使い終わったものは、どれだけ余っていても

再使用不可です。

どんなに密封しておいても、絶対固まってしまいます。

まあ、内部コートは一回しかできないので

ケチらず使いましょう。

約1リットルで、2〜3個使えそうです。

みえるか?

思ったより、コートは薄くつきます。うっすらと下が見えています。

まあPORを信じましょう。

 

ただ、このコートは欠点もあります。

ものすごい手が汚れるんです。

 

 

この指紋に入り込んだコート材を見よ!

これ以上、どうがんばっても落ちません。

塗料などで汚れなれている手ですが、ここまで

しつこい塗料はありません。POR-15以上では

ないでしょうか?

これだけしっかりつけば、タンク内部も安心そうではありますが・・・

 

内部 外部をほぼ完璧に処理しましたので

これで錆が出るようなら、もう手の打ちようがありません。

まあ、すくなくとも2〜3年で穴があくことはないでしょう。

ガソリンタンクの処理をケチると、ガソリンラインが詰まったりして

ろくなことになりません。

やれるときには徹底的にやっておきましょう。

 


いよいよ状態確認編

 

この車の一番の問題点は、フロアの錆です。

このころの車にしては珍しいモノコックボディー

しかも、できるだけ軽量化しようとしたボディーのため

今の車と変わらないぐらい、もしくは今以上にうすく錆びやすい

鉄板でできています。

ヨタハチはとにかく錆びやすく、レストアしていない車は

ほぼ床が溶けています。

おかげで、もっともレストアの大変な車のうちの1台です。

新品外装部品は全滅ですし。

その錆び方は想像以上で、本当にぼろぼろです。

 

そんなわけで、とうとう私の車の状態確認です。

シートなどは外れているため、部品を外さずに床が見えます。

 

助手席側 シートをはずしたところです。(写真クリックで拡大)

写真左が車両前側。

オリジナルのフロアがさびて抜けそうなので

適当な鉄板をリベットで適当にとめています。

そのパッチワーク具合が半端ではなく、タッピングビスを含め

100発ぐらいで6枚ぐらいの鉄板をとめています。(片側だけで)

その上からパテやらシーラーやらで無理やり固めていたものが

オリジナルフロアがあまりにさびてきたので、全部はがれそうです。

 

助手席側の前半分(写真クリックで拡大)

上側が車両の前側になります。

スカットル部分が2重になっていて、その間に水がたまり

フロア立ち上がり部分がぼろぼろ

そのためにフロア下側から大きめの鉄板で、リベット止め。

フロアが抜けるのをかろうじで防いでいます。

 

フロアリヤ側

このあたりは鉄板を張っていなかったようで、完全に下が見えています。

 

錆色にまぎれて完全に擬態していますが、赤い線が

フロント足回りロアアームにつながっていて、トーションビームになっています。

これを取り外すために、フロアの下のサービスホールからねじをはずすんですが

フロア下、フロアトンネル部分

そのサービスホールが、新たに貼られた鉄板でふさがれています。

トーションビーム外せないじゃん。

本来なら蓋がねじ止めされているはずです。

 

当然運転席側も同様です。

このような応急修理を繰り返し、どうしようもなくなったフロアですが

中途半端に溶接でとめられるよりも、ぜんぜん楽です。

さらにいえば、レストアしていないヨタハチの中では

程度がよいほうではないかと思われます。

 

この車で一番大変なのは、間違いなくこのフロア部分です。

ここさえ直せば、あとはクリーニング程度で普通に乗れるようになります。

 

そこで、これからの計画としては、フロアを完全に直し

あとは乗るのに不都合がない程度に修理。

あとは乗りながら直していって、数年後にフルレストアを

しようという計画を立てました。

フェンダーを外すと、どうしても外装の塗装が必要になってしまいますので

これ以上の部品奪着もしない予定です。

外装は全塗装しませんし、へこみもそのままです。

これは、全塗装をするのにどうしてもガラスを

外したいんですが、ウェザーストリップが前後で10万という

恐ろしい価格なので(リプロ品 あるだけラッキーなんですが・・・)

すぐには買えないのが理由です。

 

(このとき2004年 4月)

これだけなら、ゴールデンウイークでフロア補修

お盆には仕上げ作業ができるのではないでしょうか?


フロア修理準備辺

モチベーションをあげるために、トヨタ博物館に完成予想図を見てきました。

偶然にも同じ初期型、同じ色です。

ウインカーはやはりクリアがいいなぁ。

 

うちのフロアはこんなように元に戻るんだろうか?

欠品のフロアマットがうらやましいです。

 

アウターハンドル部分

ハンドル部分の穴が斜めなんですね。

うちのヨタは鍵穴が半分しか見えていません。

なんとかせねば・・・

 

 

さて、うちのヨタハチで現実に戻るわけですが

このフロア状況ではジャッキアップするのも怖い状態です。

取り外す部品は、ドア トーションバー ハンドル インパネ中身などを

取り外さないといけないんですが、ドアを外した日にはフレームが折れそうです。

そこで、ドアを外した変わりにフレームを作ります。

ドアのキャッチとインパネ裏のフレームをつなぐ棒で、長さを自由に変えられる

手軽に取り外すことができるものを想定。

材料はいろいろ悩みなしたが、クラウンのタイロット部分を使用して

(赤矢印の部分が使った部品)

鉄パイプを延長します。

こちらはタイロッド根元部分のボールジョイントを使用して、鉄板を溶接

ドアキャッチ部分にねじ止めしています。

ボールジョイントを使用していますので、この部分から自由に角度を変えられます。

 

鉄パイプを延長して、タイロッドのねじ調整部分を先につけています。

長さを自由に調整できるので、インパネ裏のフレームの一番強いところを

押しているだけです。

ジャッキアップ時に心配なのは、フレームが「U」の字に変形するのを

防ぐのが目的なので、これとルーフを外さなければ大丈夫でしょう。

 

赤矢印の部分が追加したバー。

細いけど、圧縮方向にしか力はかからないので

これで大丈夫なはずです。

安心してジャッキアップ。(ジャッキが突き抜けるかもしれない恐怖がありますが)

2柱リフトがあるのに使わないのは、リフトをかける部分がさびてなくなっているためです。

 

まず最初にハンドルを外しましたが、いきなりホーンボタンの

周りの樹脂キャップを破損。

今の車と構造が違うので、取り外すにも気を使います。

そして、ハンドルもすんなり取れず、鉄板でプーラーを製作。

左下に写っている、小さい板がそれ。

ハンドルを取り外すのに1時間。

先が思いやられます。

 

と、思いましたがそれ以外のパーツは

昔の車らしく、すんなり外すことができました。

思っていたよりねじも固着していません。

ただ、フロアを貫通しているトーションバーの取り外しには

非常に苦労しました。

カバーがリベット止めされているため、通常の取り外し方では

外すことができず、まずは、フロアを横切るサイドフレーム?を

取り外します。

赤線で囲んだ部分(これは助手席側)

当然スポット溶接でついていますので、はがしていかないといけないんですが

フロア部分は完全になくなっています。

フロアトンネル上部と、左右部分だけがつながっています。

スポット溶接をはがすために、ドリルを当てていくんですが

インパネ下側は見えない部分にドリルを当てないといけないので

まったく手探り状態なのと、錆でスポット溶接のあとが消えています。

そんなわけで、ものすごい苦労しながらサイドフレームを外してから

トーションバーを外しました。

かなり無理やりフレームを外したので、フロアがぼろぼろです。

さびてない部分まで直さないといけなくなりました。

 

 

これでフロアがフラットになりましたので、完全につかえないフロア下面を

完全に切り取ります。

 

とりあえず、運転席を優先で直していくことにします。

元の鉄板が完全になくなっている部分が多いですので

少しでも元の形を参考にするため、片側ずつ直していきます。

まずは状態チェック。

 

ペダルがつく、フロア部分下側です。

やばいですね・・・

複雑な形状なので、時間がかかりそうです。

 

 

フロントタイヤハウス、後ろ部分です。

赤い線の内側が、新たに貼り付けてある鉄板です。

アンダーコートでよく見えなかった部分ですが、はがして調べてみると

純正の鉄板の上に、適当に形を作った鉄板をかぶせて

溶接とシーラーとタッピングビスとリベットで適当に止めてあるだけです。

なおかつ、タイヤと干渉している跡もありました。

さすがにこれは、このままではいけません。

下手に溶接が使ってあるために、この鉄板を取り外すためには

フェンダーを取り外す必要があります。

さて、ここで運命の分かれ道です。

フェンダーを外さず、フロアのみの修理にとどめるか

フェンダーを外し、ボディー下部を作り直しか・・・

・・

 

次回へつづく

次回予定 予定どおりに作業中

ゴールデンウイーク お盆の作業編

 

TOP