2005/04/04
月刊レストアレポート 4月号
前号で、「4月はさらに弄る時間がない・・・」などといっていましたが、
そんなに甘えていられないのも事実。
忙しい中、時間をなんとか作りながらこつこつ作業を進め
なんと、完成しました!!
記念撮影。
あれだけ苦労したクォーターも、きれいに直すことが出来ました。
潰れていることが多いラインも、しっかり再現しています。
肝心のフレームですが、当然完璧です。
純正デバイスを一切カット。樹脂整形により高剛性と
軽量を高い次元で両立しています。
東京マルイ製ユニット搭載で、遠隔操作も可能な
すごいヨタハチにしあげることが出来ました。
なんというか・・・
ぶっちゃけ、こっちの方が忙しくて、まったく車に
触れませんでした。
なにもしてなかったわけではなく、一応防錆材のテストをしてましたので
進んでいないわけではないんですけどね。
テストのテーマは「万能防錆材は存在するのか?」
一般的な2液型プラサフと、代表的なPOR−15
さらに新型の防腐剤(#123)もテストしています。
こんなテストピースを作りました。
大きめの鉄製ワッシャーを2個、防腐剤で張り合わせています。
これを、上から力をかけて・・・
剥がれるまでにかけた力の強さを調べてみます。
(かなりでかいです)
結果一覧ですが・・・
プラサフ
基本 43kg 47kg
CRC 22kg
POR−15
基本 70kg 74kg
鏡面 65kg
ベルトサンダー 95kg
CRC 15kg
+プラサフ 72kg
#123
基本 68kg 78kg
鏡面 78kg
ベルトサンダー 110kg以上(剥がれない)
CRC 71kg
+プラサフ 65kg
それぞれのテスト内容の解説ですが・・・
基本は3M CNCベベルを使っています。全てのテストピースは
一度このベベルで削っています。
鏡面は320番の空研ぎで、サンダーを使っているために
かなり写り込みします。
ベルトサンダーは40番手を使っていて、サンドブラストなどと
同等と思っていいと思います。
CRCは潤滑油のCRC556を、ティッシュに染み込ませたもので
施工面を吹いてから、サンプルを使っています。
+プラサフは、一度サンプルを塗ったあとに張り合わせず、
完全に乾燥したあとに320番で軽く足付けをしてから、プラサフを
塗ったものです。
違うテストとして、通常のテストピースを作ってみました。
左から#123 POR−15 プラサフです。
色々な下地にいろんな条件で塗っています。
これはアルミです。
PP樹脂です。
アルミ蒸着メッキに塗っています。
あとクリアで仕上げられている塗料の上に、足つけなして
そのまま塗ってみるテストピースも作りました。
普通の鉄板ですが、下地を320番にしてあります。
かなり細かい番手になります。
乾燥後、針 80番 320番でサンプルを擦るテストをしています
アルミパネル テスト後
かなり錆のひどかったパネルを、上半分をCNCベベルで錆を簡単に取り除き
下は錆そのままの状態にしています。
左から #123 POR−15 ジンク塗料(エポローバル) プラサフ です。
乾燥後テストをして、このパネルはさらに錆を進行させて様子をみます。
同時進行でワッシャのテストピースもさびさせていますので、こちらは
出来次第報告しようと思います。
総評
ほとんど全てのテストピースを同条件で同じ日に作っています。
(3月後半 ちょっと寒い日 晴れ )
乾燥は4日以上たってからのテストになります。
すべて2回塗りで筆で塗っています。
粘度の関係から、プラサフが一番膜厚が厚く、#123が一番薄いです。
プラサフ
今回テストできていない 錆の上の耐久性以外は、素晴らしい性能です。
乾燥がぶっちぎりに速く、全ての面にまんべんなく張り付いていて
針による剥がしにも負けません。
樹脂はもちろん、足付けしてないメッキにさえも
ぎりぎり実用に耐えそうな密着をしています。
POR−15
一般的に言われている「上に塗装がのらない 粗い面以外はつかない」との情報は
ワッシャーテストの結果を見る限りではそんなことありませんでした。
破断面を見ても、プラサフ 鏡面ともに密着しています。
しかし、錆面以外の全てのテストピースで針による剥がしには
絶えられません。
ベルトサンダーに塗ったPORでも、針でつつくとビニールを
剥がすように剥がれてきます。
メッキ アルミ 樹脂 鏡面鉄 クリアの上 すべて簡単に
剥がれてきます。
錆が若干残っているCNCベベル面でも、簡単に剥がれてきます。
(写真をよく見るとわかると思います。本当はきれいに四角で塗っています)
なぜ簡単に剥がれてくるのに、ワッシャーテストでは
あんなに持つのか、とても疑問です。
ペーパーで削ってフェザーエッジを出すテストでも、全然だめです。
錆面以外は塗膜が薄くなる部分からぼろぼろ剥がれてきます。
#123
この製品の特徴ですが、どこにでも使えて、どんな上塗りでもいけるPOR・・・
こんな感じです。車用としては売っていないんですが、
偶然この塗料を知って、試してみたくなったのが今回のテストを
始めたきっかけになります。
薄茶色でかなり粘度が低く、乾燥はPORより若干速いです。
まさかのCRC面に強力密着を含め、全体的にPORより
強く接着している印象です。ワッシャテストのベルトサンダーはまったく剥がれず
タガネでこじ開けて破断面を調べたりしました。
しかし、その他はPORとまったく一緒です。
樹脂 メッキ 鏡面鉄 アルミ クリア面 CNCベベルともに
針で傷つけると、そこからビニールのように剥がれてきます。
当然フェザーエッジも出来ません。
以上を踏まえて・・・
なぜ接着できるのに密着しないのか?
まったく見当もつかないのですが、少なくとも
錆面以外に湿気硬化型塗料を使うのは避けたほうがいいようです。
もし2液型プラサフが、錆の上にも塗れて、錆を止める効果があるのなら
それが車用の万能錆止め材になるのではないかと思います。
またPORよりは#123の方が、塗りやすく使いやすいです。
来月は工場の移動を控えているんですが、すでに仕事は
ほとんど終わっているために、車を触る時間はありそうです。
なんとかまとめて作業したいと思います。