2002/04/03
世界一苦労したシフトノブ
まだ鋳造作業を見てない人はこちらから
鋳造で作った円柱っぽいアルミインゴット。
こいつから作るものは最初からきめていました。
シフトノブです。
ここで中途半端に終わってしまったんですが、
(削りすぎて細くなっちゃった)
今回は太さも十分にあり、ちゃんとしたものができそうです。
スローアウェイ(ホルダーを自分で作った)のバイトで
ちゃんとした円柱に削り出します。
「削り出します・・・」
「削り出します・・・」
・
・
カッコよすぎる!
やはり男は「削り出し」
旋盤の値段分ぐらいは、これからも自慢します。
(普段使う機会が無いので、なかなか削り出せない)
そして、だいたい希望の形に削っていき
サンダー(80番ペーパー→800番ペーパー)でならして
コンパウンドで磨いていきますと・・・
このようになるわけですね。
しかし、ス穴が多すぎます。
見えるかな?
白い点みたいなのがス孔
写真ではわからんですが、けして綺麗ではないのです。
しかも、砂をかんだあとがあるらしく、大きな穴があいています。
これはなんとかしなくてはいけません。
アルミの穴をふさぐ場合、一般的なのが「ロウ付け」だと思います。
これに挑戦しようと思ったんですが、今までうまくいったことが無い
そして溶棒が無いって事もあったんで
普通のハンダでやってみたらうまくいっちゃいました。
ス穴は多すぎて埋める気がしませんが・・・
あとはシフトノブ用のネジを切れば完成のはずです。
アルミ缶
↓
アルミ鋳造
↓
削り出し
↓
磨き
これだけの工程を踏んだわけですから、この時点で世界一
苦労したと言ってもそうそう間違いではないでしょう・・・
しかしここは「普通でたまるか!!」
溶かして削ってハイ終了、ではあまりに芸が無い
(芸を求めてる時点で道が間違っているとは思いますが・・・)
もう一つ、あともう一つできることはないものか・・・
そんな私に光明を見出してくれたのは、やはりオールドタイマーでした。
シフトノブに適当なネジピッチを切って、ネジをつけてあります。
かならず、ネジとシフトノブ本体に電気が通ることを確認します。
それから
アルミの針金
と
オールドタイマー10号を用意します。
アルミの針金はホームセンターには売ってなくて
100円ショップで売っていました。
オールドタイマーの中(写真のページ)にはこう書いてあります。
バッテリーと希硫酸(漢字あってる?)を使えばだれでも
アルマイト被膜が作れる!と・・・
アルマイトってなに?って方のために・・・
ネット上で拾ってきた情報は、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アルミニウムの表面は、自然酸化皮膜で保護されているので一般に耐食性がよいといわれています。しかし、この皮膜は非常に薄いので、あらゆる環境に耐えることはできません。自然酸化皮膜が存在するままでもアルミニウムは一般に活性で、湿気や、酸・アルカリの環境では化学反応により腐食してしまいます。
従って、表面加工をする場合には、目的に応じ、表面を保護する皮膜・塗膜をつける必要があります。すなわち、アルミニウムは、自然酸化皮膜のままでは耐食性も十分でなく、また、表面の硬さも十分ではありません。これらを満足するには、人工的な皮膜・塗膜生成のための表面処理が必要となります。
この表面処理方法として、陽極酸化による方法、複合皮膜による方法及び塗装による方法が一般に行われており、最近では、さらに各種表面処理方法等の組み合わせによって、多様化・高級品化・個性化等の試みが多くなってきています。
アルミニウムの陽極酸化処理とは、一般にアルマイト処理とも言われており、この方法は、アルミニウムを陽極とした電気化学的方法で人工的に酸化皮膜を生成させる処理をいいます。すなわち、アルミニウムを陽極として硫酸電解液中で、電気分解すると、
陽極反応として、
Al → Al3 + 3e-
OH → O2- + H+
HSO4 → SO42- + H+
陰極反応として
H+ + e-→ H2↑
の反応が起こっています。
しかし、陽極における微細孔の内部でも同時に次のような反応が進んでいます。
2Al3+ + 3SO2- → Al2O3
Al3 + SO42- → Al2(SO4)3
すなわち、硫酸根を含む酸化皮膜の生成が進みます。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
だって。
アルマイトをかけると、表面が固くなるみたい。
ここでも書いたみたいに、ペーパーかけたくらいじゃ
ほとんど剥がれてくれなかったです。
ただ、鋳物には難しいみたい。
まあス穴だらけなので仕上がりはほかっておきましょう。
こまかいやり方はOT10号を見ればわかるんですが
(売ってないとは思いますが・・・)
バケツに入っている水は希硫酸。
バッテリー液を1/2ぐらいに薄めた物です。
OTでは新品を使えって書いてありましたが、入手方法が
わからないので古いバッテリーからとってきました。
薬局へ行けば手に入るかな?
バケツに入っているのはアルミ板。
アルミの針金でつっています。
アルミ板の大きさは、メッキしたいものの表面積の1/2だそうです。
もちろんテキトーな大きさにしています。
針金の先はブースターケーブルで―極へ。
シフトノブは適当なものにアルミ針金でつって、+極へ。
全体図です。
非常に簡単ですね。
バッテリーにブースターケーブルを繋ぎ、シフトノブを
静かに希硫酸の中へ沈めます。
ぶくぶく・・・と、こまかい泡がすぐに出てきます。
臭いがキツク、非常にいい感じです。
空気を細い管で送りこみ、希硫酸を撹拌しています。
これは温度が上がるのを防ぐためだそうです。
温度計も突っ込んで、温度を一定にするのがコツだとか。
希硫酸の温度は13℃でしたが、1時間後には
18℃ぐらいまで上がってきました。
氷なんかも入れてみましたが、下がってきません。
まあ1時間もやれば十分でしょうってことで、とりあえず終了。
バッテリーの電圧も測っていたんですが、特に減ることもなく
そんなにバッテリーに負担はかかっていないようです。
希硫酸から引き上げた直後のUPです。
艶ないです。
ハンダで埋めた穴がよみがえってます。
ハンダが溶けてへこんだような感じです。
この時点でアルマイト被膜はできているはずですが、
たくさんの小さい穴があいているそうです。
この穴に色素を詰めれば着色アルマイトだそうです。
どう着色すればいいのかさっぱりなので、塞孔処理をします。
塞孔処理をするまでは、絶対に触っちゃだめらしいです。
「煮ろ」だって・・・
嘘みたいですがほんとのことらしいです。
沸騰したお湯にシフトノブをつけています。
ストーブなので火力が弱いですが、適当です。
1時間ぐらいほかっておきました。
そして煮あがったものが・・・これ
まあまあの艶ですが、少しにごった感じです。
もうちょっと鏡面にしておいたほうがいいみたいですが
ス孔が多すぎてやる気無しです。
さらに希硫酸が悪かったのか、黒っぽくなっています。
まあ練習ですので、こんなものでしょう。
さて、ほんとにアルマイトがかかってんのかぁ?って声が
聞こえてきそうですが、ほんとにかかってます。
簡単に調べれる方法があり、アルマイト被膜は電気を通しません。
そのため表面の抵抗を測ってみれば一目瞭然です。
(当然こいつも∞オームでした)
さらに、アルミ用のコンパウンドで磨いてみても
まったくコンパウンドが汚れません。
(普通は真っ黒になる)
予想よりはるかに硬いアルマイトができあがりました。
今後は着色アルマイトに挑戦しようと
「鯉富士印 アルマイト用染料」なるものも見つけ
日夜研究にがんばっております。
着色アルマイトに詳しい方、情報をお待ちしてます。